思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

逆境ナイン

知る人ぞ知る島本和彦の傑作/名作マンガがなんと映画化された!
これだけでも凄い(ある意味『指輪物語』以上かも)のだが、
映画の中身のほうも笑いあり、感動ありの佳作に仕上がった。

原作ファンとしては、あの勢いや強さは弱まっているものの、
実写としてはこれくらいになるのが妥当、というところ。

映画ならではの良さも、もちろんある。
校庭をころがる謎の物体、
そしてなりよりマネージャーの月田くんを演じる堀北真希ちゃんが可愛い!!

原作で不屈が思いを寄せる桑原さんは尺の関係で出てこられないので、
片思いの相手は月田くんになっているのだが、
そりゃ、好きになるわ、という感じなのだ(その大きい瞳とか!)。

また100点差を不屈1人で取り返すようになっているのも相違点。
原作ですら50点なのに、
ましてや映画ではちょっと100点を取る説得力に欠けるかも。

エンディングの「夢をあきらめないで」もいいのだが、
少し音量が下がるのは何故?劇場の調整の関係なのか?

パンフの監督インタビューによると、
感動の要素として映画版にオリジナル要素として入れた
野球少年のエピソードは、あまりにもわざとらしいのだが、
まんまと感動してしまった…。

日の出商業の高田の名前が神埼になっていた理由がよく分からないのだが…。

カットされたエピソードの中では、
先に書いたように不屈が全得点を挙げるので、
新屋敷に男の魂をシンクロさせるシーンがなかったのが残念。

さらにナインがほぼ固定で、
原作にある補充部員募集のエピソードがない。
“王”や“長嶋”のそっくりさんが見たかったのになぁ…。
ま、これも尺の関係や“ナイン”(9人)という焦点がぼやける、
という演出意図はわからなくはないのだが。

原作者の島本和彦が“炎尾燃”として解説者役で出ているのにも注目。
エンドクレジットも“炎尾燃”になっているのだ。
セリフなど、このあたりは『新吼えろペン』でやっていたのと
ほぼ同じような内容で、メタフィクションとはいえ、
けっこう忠実だったんだな…と思った。

追記<7月5日>
「透明ランナー制」が宣告されたとき、
「草野球じゃねえんだから〜」と高田(神崎)が叫ぶのだが、
あれはやっちゃいけないだろう。
あの世界では透明ランナー制が公式ルールなんだから、
あそこで突っ込みたい気持ちはわかるし、
野球のルールを知らない人は本気にする人もいるかもしれないが、
それでもいいのだ。