思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

東京アンタッチャブル


☆☆☆

本作は白黒なので、時代的に、本家ハリウッドの『アンタッチャブル』の前じゃないかと思うのだが(調べてないので分からんけど)、本作のほうが後でないと、タイトルの意味が分からない。本作は、丹波哲郎演じる宝石強盗が捕まり、脱獄して、他の仲間というか手下みたいなヤツらの元へ行き、隠してあった宝石を手にして東京から逃げようという話。全然、一般人どころか警察が手を出してはいけないような相手ではない。皇室絡みでもないし、警察上層部の仕業でもみ消されるでもないし、丹波哲郎たちはヤクザですらない。どう考えてもマフィア映画『アンタッチャブル』の二匹目のドジョウ狙い以外の何者でもないタイトルなのだ。
警察陣は、頼りない若手刑事に高倉健、その相棒である先輩刑事に三国蓮太郎という布陣。私的には、どちらも冴えないオッサンにしか見えず、完全に丹波哲郎の凄みが勝っている。その白眉が、高倉健に拳銃で撃たれた弾丸を自分で摘出するシーンだ。
ラストに、たまたま観ている途中だったヒッチコックの『めまい』の冒頭のオマージュがあったので驚いた。
ちなみに、物語的にはどうでもいい役柄だが、ヒロインは三田佳子高倉健の恋人で、終盤は人質にされて怖がる、程度の簡単な演技しか要求されていない。