思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

映画大好きポンポさん

☆☆★

評判だったので期待して観たのだが……。最初は「ふんふん、めちゃくちゃテンポ良くて面白いやん」と思ってたが、先に進むにつれてどんどん評価が右肩下がりに(^^;)
要するにこれ、子供向け(あるいは仕事に疲れたアニメオタク向け)映画なんだよ。オトナ、なかんずく映画マニアには向いてないと思う。
展開が全部ご都合主義というか、どっかでみたようなピンチとそれを運か根性で乗り越えるだけ。そしてあり得ないくらいオールオッケーなハッピーエンド。これ、子供向けアニメの王道以外の何者でもないでしょ。

原作も知らないので、てっきり映画マニアの女子小学生が、実際の映画制作にたずさわるチャンスを得て、映画を作る、という話かとばかり思ってた。そしたら、全然違う。
主人公にしろ、ヒロインにしろ、黒髪っていうこともあるけど、どう見ても日本の小学生(せいぜい中学生)にしか見えん。
いくら親(ハリウッドならぬニャリウッドの伝説的超有名プロデューサーなんだそうな)の七光であっても、なんで幼稚園児みたいなのがB級映画でヒットを連発する名プロデューサー、というのを観客に信じろ、と言っても、少なくとも大人にはムリ(´Д`)
あと、何故か主人公ではない同級生(友人でもなく、しかも原作にもいないらしい!)が銀行融資のプレゼンで首脳部を説得するシーン。あんな内部の会議を勝手に全世界中継したら、クビどころか高額の損害賠償ふっかけられるでしょ? それがさらに上の会長が出てきてうまく行くあたりが、子供向けのご都合主義(楽観的)展開。
本作の長所を挙げるとすると、子供向けとして、映画制作の流れが分かる、という点。中でも、金が必要なことと、編集という作業の重要性だ。あと、最初の20分くらい、時間を前後させてテンポよく人間関係を説明するのは良かった。
アニメとして、地味な作業ほど派手にデフォルメされていて、特に編集作業で刀を持ってわけのわからない異空間を乱舞するところは、実写映画版『バクマン!』とそっくり。
アカデミー賞(作中ではニャカデミー賞)作中作(主人公たちが撮っている映画)の、何がどう凄いのか、少なくとも見ている観客には分からないんじゃない? 少なくとも、主人公が最初に作って、監督抜擢にきっかけになる15秒の予告編なんて、どこが凄いのか、最低限、名プロデューサーであるポンポを唸らせたのか、登場人物と同じものを見てるだけに、ドラマで料理を作ったその味なんかと違ってごまかせないのに、それが感じられなかったし。
少なくとも、まともな(?)大人が見るに際しては、ポンポさんを、幼女ではなく50歳くらいのゴツイおっさんであると変換して観る必要はある。舞台も日本にするか、そもそもキャラデザインを全員アメリカ人にするか。
アニメ映画の共通の問題ではあるが、声優陣も、大スター役の大塚明夫以外はプロパーの声優ではない人ばかりで、特にヒロイン役はひどい。まあ、これは業界共通の病なので、もはや突っ込む気力もないが・・・。