思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ぽぎわんが、来る』


澤村伊智
☆☆☆☆★
角川書店

『狐狼の血』に続いて、ジャガモンド斉藤流に言う、「原作チンピラ」を敢行。珍しく(?)2作連続して、映画も面白ければ、原作もそれとはまたベクトルの違う良さがある面白い小説であった。
小説はホラーとしてはもちろん、きちんと広義のミステリーとして、また妖怪小説的な面白さもある。
ざっくり言えば、後半になるほど、映画との違いが大きくなる。特にクライマックスは、田中啓文とか日本のホラー小説の王道的な
バトルもの。逆に、映画では、よくぞあんなふうなスタイリッシュに振り切ったと感心するほど。
それ以外の相違点。
ヒロインたる琴子の見た目。小説では、小柄でポニーテール。ケロイドは腕のみ。ある種の「外し」ではあるが、これはこれで、ある意味アニメ/ラノベチックというか(^^;)
映画では除霊師のおばちゃんは中盤の攻撃力では死なないが、本作ではそこでやられる。逆に、知紗の母親は、小説では攻撃を受けて瀕死になるが、死なない。
また、オカルトライター野崎視点の第3章では、琴子がやってるのは、ほぼ京極堂の憑き物落としと言っていい。少なくとも、多大な影響を受けている。

「彼女にしてみれば、呪いの実態がどのようなものでも、構わなかったのだと思います。(略)よりによって、しかも最晩年になってから,とてつもなく悪いモノを呼び寄せてしまった。夫だけでなく、自分や、孫、曾孫まで執拗につけ狙い、危害を及ぼすモノを。」

これが、小説におけるモノ、ぽぎわんである。映画では影も形もないのだが、小説では、口が肥大し、長髪の白髪を振り乱す化け物として実態を伴って出てくる。

以下ネタバレ

ぽぎわんが子供をさらう理由づけというか、その結果があらたなぽぎわんになる、というのも、ある種の『リング』的な連鎖が面白い。