思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

斬る

☆☆☆★

事前情報ほぼゼロ。市川雷蔵主演ということくらい(あんまり好きでもないけど(^^;))。
オープニングは、てっきり白黒だと思ってたので、カラーだったのと、構図がスタイリッシュであることが意外。ただし、『十三人の刺客』とかのように、全カット決まりまくっている、というほどてもない。凝った構図のショットはここぞ、という場面に限られてはいるのだが。
剣の達人で、家族を殺される、というのは盲目の囲碁指南役だった某作品を連想させる。
隣人トラブル(^^;)で、斬られた父が、駆けつけた雷蔵に、延々と出生の秘密を明かし、語り終えたところで事切れるあたり、お約束すぎて笑えるレベル。
敵討ちはすぐに済み、いずこかの街道の宿場での、敵討ち騒動に巻き込まれたりしつつ、江戸で大目付のガードマン的に雇われることになる。
時は幕末、天狗党がテロの猛威を奮っている水戸藩へ乗り込み、大目付は殺されることになる。いや、そんな事していいのか? 史実であってもなくても心配になるが、それはおいとこう。
主君を殺された雷蔵は、その場で切腹して、その場で「完」。いかにその実の母が打首になったのと対応するとはいえ、呆気なさすぎない??
本作の雷蔵は、円月殺法ならぬ、三弦突きだったか何だか、相手の喉元に一直線に迫る必殺剣を編み出した。道場で構えを見せるだけで相手が降参したり、その後も封印しちゃうので、それが見られるのはクライマックスまでお預け。それも床の間に飾られた木の枝を使うのだ。おまけに相手を殺すのは、喉ではなく胸を刺したから。
なんかいろいろ、ひねりすぎてよく分からん映画になってないかい?(^^;)
女優目線では、雷蔵の妹役が(顔というよりキャラが)可愛いくらいで、格別魅力的な人は出てこなかった。
ひねりという意味では、宿場の敵討ちで、女のほうが、自ら裸になって、死ぬ気の気迫を見せるのだが、そこまでする設定(展開)にしながら、徹底して胸から下を映さない、全年齢に配慮した親切設計(´Д`) ただし、ラストにはそんな胸元にはだけた髪(黒)や血(赤)が真っ白な肌と美しいコントラストを見せる、という妙なフェティズム(映像的美意識)を見せたりもする。
なお、こんなタイトルの割には、斬ることに焦点を当てた内容ではない。少なくとも、斬る、斬られるが見終わった印象に残る映画ではない。後でタイトルと内容をリンクさせるのに苦労しそうだ。