思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

サムライ・フィクション

☆☆☆★

半世紀ぶりに再見。
良いところと、違和感のあるところが同居する、という意味でアンビバレンツな映画だ。
良いところは、静的なカットも動的なカットも、全く飽きさせることなく、最初から最後までほぼ全カット、考え抜かれて撮影されているところ。
良くも悪くも、ミュージック・ビデオのセンスで取られた時代劇、と言える。バーとかでBGVとして流すのには最適(^_^;)
初見時は気づいたかどうか忘れたが、主に刀で切られたカットの血糊の代わりなのか、真っ赤になるカットは、カラーになる、というより赤を基調にしたモノトーン。黒のモノトーンと、赤のモノトーン、という転調に過ぎず、本当のフルカラーはデンドロールまでないのだ。詳しく言えば、背景は黒を赤に置き換えたのではなく、原色赤を配している、グラフィック的な処理が施されているのだが。
画像処理といえば、緒川たまきの肌の白さも印象的だが、一瞬(1コマってレベル)だけ顔の黒子が映ったので、肌を修正しているのがバレた(^_^;)

違和感のあるところ。
演技が下手な人がメインに何人もいる。まず、主役の吹越満は、とぼけた演技なのかも知れないが、セリフが下手に感じるんだよねぇ。セリフが下手といえば、緒川たまきも微妙。ただ、この人は声がめちゃくちゃ色っぽいから、それを補って余りあるんだけど。
布袋寅泰も、役者じゃないから仕方ないけど、セリフ以前に、今回一番気になったのは歩き方。侍の歩き方じゃなくて、完全に現代人の歩き方。どこがどう違う、と説明はできないけど、これがわかるようになったのも、わからないなりに、時代劇を観まくった効果か(^_^;)
その辺のフォローするかのように、風間杜夫とか、夏木マリという名優がドンと占めているのでなんとかなっているが、もう一人くらい、主役級に演技派がいても良かったのでは?