思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

楽園追放 BRボックス版

☆☆☆☆

レンタル版は観ていたが、このボックス版を買えば、面白さは数倍増しになる。
まあ、脚本こそ読まないと思うが(メイキング好きの私ですら読まないのだから、脚本まで読んでる人、どれくらいいるんだろう/誰が喜ぶんだろう)、特典映像の約30分のメイキングと、ブックレットを読むと、フルCGのオリジナル長編アニメを日本で作るのが、どれだけ大変というか、画期的なことかがよく分かる。ちなみに、『アルペジオ』とほぼ同時期らしいが、あちらも『サイボーグ009』も原作ありだし。
CG好きとしては、その制作の裏話も面白いが、普段は関心の薄い、声優メインキャストへのインタビューが、非常に興味深かった。特に人工知能たるフロンティア・セッターの演技の、感情表現のバランスの難しさを読んでから本編を観ると、正しく絶妙なバランス。逆に、改めてとても人間が喋っているとは思えないほど。
それ以外にも、物凄い情報量で、なおかつ文字サイズも、私なぞ老眼鏡どころかルーペがないと見えないキャプションも多い。どうやら劇場パンフレットに加筆修正したものを(たぶん50%くらいに?)縮小したものらしい。これ、二千円くらいのムックとして売っても全く不足のない内容。各種デザインワークから、メインスタッフのヒアリングまで載っている。
さらにサントラCDまで付属している。割と静かな曲が多いので、別にいらんかな、とも思っていたが、バトル曲とりわけアンジェラがディーヴァから新型アーハンを奪取して追手と戦うシーンの曲は、サントラを聴いてからみると、めちゃ燃える。エンディング(メイン)テーマソングも、何故か本編で流れる日本語版ではなく、英語版が収録されていたりするが、逆にこっちのほうが良かったりする(^^;)
テーマとしては、ブックレットに書いてあるように、単にどの立場の人が正しくて、他が間違い、という描き方はしていないので、見返す度に考える事がある、繰り返し鑑賞に耐える作品。
メイキングであるように、アンジェラの肉体の柔らかさは充分表現できていると思うが、せっかく髪が長いのに、針金みたいで、全然しなやかな芝居をしていないのが残念でしかたない。バトルシーンで板野一郎巨匠のアドバイスを求めたんだったら、垣野内成美にアンジェラの作画監督をしてもらったら、さぞ流麗な動きになったろうになぁ……(´Д`)
髪といえば、長いのは、後半に髪を切るシーンがあったが故、という裏話が分かったのも興味深かった。
なお、どこでも触れられていないが、アーハンが複数の標的をロックオンするシーンは、音楽と相まって、極めてゲーム『アヌビス ゾーン・オブ・エンダーズ』っぽいんだよなぁ。CGの人ならスタッフの誰かは絶対観てるだろうから、意識的か無意識かは分からないが、絶対にオマージュだよなぁ。