思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

イングロリアス・バスターズ』☆☆☆★

タランティーノって、映画ファンが騒ぐほど好きになれないけど、さりとて一蹴もできない存在(作品)なのだ。
本作でも、本筋とは関係ないグダグダ会話が続くのでうんざり退屈して、早送りしたくなる。
でも、それは何かが起こる前の前フリであり、ミステリーにおいて探偵が犯人のわずか一言の失言から手がかりを掴むように、後の展開への伏線だったりする。何より、前フリとしての、ただならぬ緊張感が、登場人物と、観客(視聴者)の我々にも共有される演出が上手いのだろう。
Rー15という指定になっているが、エロはほとんどなく(1カットそれも2秒くらい? おまけに直接的なブツは見えない)、暴力描写のみ。
ナチスの皮を剥ぐ、という方のイングロリアス・バスターズの刻印はそこまでグロくなく、むしろ額に鉤十字を切る方が痛そう。
銃撃シーンは何箇所かあるが、それも過剰に派手で痛快なくらい。とにかく戦争(戦場)映画でもないのに、死傷者が多いのが特徴。
異常な緊張感という点からしても、スパイ映画の一種と言えるだろう。
一点、気になったのが、映画館のスクリーンの裏側が明るいこと。真っ暗じゃないとダメでしょ? 映画的なウソ?

以下ネタバレ

スパイ映画といったが、ナチス幹部がこのフランスの映画館で全滅(全焼、射殺)してしまう、というオチからして、完全なパラレルワールドというかフィクションであることは明らかなので、ツッコミを回避している。その分、もっと破茶滅茶やっても良かったんじゃないかなぁ。