思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『任侠清水港』☆☆☆

東映のオールスター映画らしい。あまり詳しくない私でも、主役級の人が次々に出ていることは分かった。
何と言っても顔芸大会というか、異様に目力のある人が多く、歌舞伎的な肩に力の入る、力みまくった台詞回しが続出する。
オールスターという割には、女優陣は3、4人くらいで、しかもそこまでスター級という感じではなかった気がする。少なくとも、私が顔を見ただけで知っている人はいなかった。
多分正月とか夏休みに、誰もが見に行くような公開だったんじゃないかと思われ、ファーストカットから、「この映画は○○」と、テーマを字幕て全部説明してくれている、バカでも・・・もとい、老若男女、誰もがお話が分かるような映画になっている。ストーリーも清水の次郎長もので、多分当時なら誰でも知っている、忠臣蔵に継ぐようなメジャーな内容だったんじゃないかなぁ。
現代の目で見ると、乱戦では血糊の仕込みができないのか(森の石松を嬲り殺しにするシーンでは血のりも出る)殺陣の迫力もないし、様式美だけでできているような映画である。
スター同士の「あいつがここまでやるなら、オレはもっとやる!」というような過剰な顔芸を堪能する映画で、乱暴に言うなら、21世紀のど素人が虚心坦懐に観ると、珍品にしか見えないかも(^_^;) 駄作とか面白くない、とは言わないが、傑作とか名作という類ではない。それこそ『怪獣総進撃』みたいな感じ?

1957年 日本