思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『来る』☆☆☆☆

80年代っぽいアクションホラーかと思ったら、ド直球のホラーだった。
序盤は、妻夫木聡の薄っぺらい理想の夫っぽさが実に嫌だったが、観ていると、それも演出というか、ミスリードであることがわかるようになってくる。
中盤以降は、ある種のバトルもので、妖怪大戦争というか、『シン・ゴジラ』というか、日本中の能力者が集結しようとしつつあるシチュエーションが燃える。新幹線から降りる駅を分散して、「この中の誰かはたどり着けるだろう」という爺さんたちがメチャ格好いい。
格好いいといえば、誰もが認める、柴田理恵が良い。あんな普通のザ・おばちゃんなのに、劇団のベテランであることを真骨頂を見せつけてくれる。
もちろん、松たか子の格好よさは言うまでもない。衣装も素晴らしい。女なのに巫女じゃなくて神主の衣装、というアイデアがナイス。ちょっとシーマ様にも通じる大人の女の魅力?? アニメファンとしては、松たか子の声も良かった。序盤、素顔を見せる前は、アナウンスのような無個性的なセリフ読みだが、素顔を見せてからは、クールビューティーという感じで。
クライマックスの「儀式」のカッコよさも、ミュージックビデオを見ているかのうような、庵野アニメにも通じるようなカメラワークとライティング。
ただ、ライティング、ルックに関しては、頑張ってマゼンタ系で世界観を作ろうとしてはいるが、いかんせん深みがないので、逆にチープにも見えるのだ。
劇伴も良かった。エンディングが、ロールアップではなく、テレビシリーズのように「バン、バン」と切り替わるスタイルで、BGMが歌でもなく、太鼓だけ、というのもクール。
ただ、タイトルはどうも短すぎて、「知紗」とかの方がホラーっぽくて良かったのでは?

以下ネタバレ

妻夫木は中盤に差し掛かるあたりで何と「あれ」に呪い殺されてしまうのだ。
後半は、岡田准一松たか子がバトンタッチ。この辺は『貞子VSかやこ』というか、大河ドラマっぽくて良い。
「あれ」の正体が結局、画面に姿を表さないのも良い。呪いとの中間的な感じというところか。
妻夫木聡の妻は、最初、実家に行った時に、タバコを吸っていたので、なんかヤだなぁ・・・と思っていたら、案の定、こっちもクソ人間だったのの伏線になっていた。