思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場


☆☆☆★

タイトルから、内容は推測できるが、ドローンを使った戦争もの。原題も同じ展開『EYE IN THE SKY』。『天の眼』と『空にいる私』のダブルミーニングやね。
同じくドローンをテーマにした『ドローン・オブ・ウォー』とは、家からコンテナに出勤するのは同じだが、その他は結構違う。あちらは米軍、本作は英軍。本作は、パイロットや将軍が勤務に就いたところから始まり、それぞれがミッション完了で部屋を出るところで終わる。時間はほぼリアルタイムだ。
と、観た後で調べたら、ドローンと操作しているパイロットと指揮系統は米軍だった。ややこしい(´Д`)
本作は要するに、国際指名手配のイスラム過激派が、自爆テロを準備している現場を押さえたが、周辺の一般人を巻き添えにしてもなお、結構すべきか? というテーマを扱っている。その一般人も、黒人の10際以下の女の子ただ1人
というミニマムな二者択一に絞られる。自爆テロが結構されれば、人の多いところで、一般人が80人くらい犠牲になる。どう考えても軍事的には、選択すべきオプションは攻撃なのだが、そのための法律的正当性を担保するためにミッションルームの軍民双方のメンバーだけでなく、海外にいる法務大臣外務大臣に電話をかけて、本来なら不要な判断を仰いだりする。このへんの理論武装は、ドイツ的、というより日本的にすら思える。
作中の大将がいうように、「テロが起こった時に、準備を知っていながら攻撃しなかった」ことを責められるか、「まずあり得ない、ドローン映像がYouTubeにリークされた時に、子供1人が巻き添えにらなる可能性があるのに攻撃した」と非難されるのを恐れるか、という二者択一の映画だ。
そもそも、このミッションを可能にしているのが、プレデター型の無人遠隔操作ドローンと、すぐ近くでターゲットの屋内に侵入させる鳥や昆虫サイズのドローンだ。前者の存在を疑う奴はいないが、後者は映画的なフィクションだろう。昆虫サイズのドローンはともかく、カメラと数十分行動可能なバッテリーを内蔵するのは無理でしょ?
ちなみに、本作では責任を取りたくない文民や、上官に反抗するパイロット(最初の攻撃命令に対して反抗したために、少女がターゲットの家の横でパンを売りだしてしまい、話が大混乱に陥る)など、ロクな奴が出てこない。プレデター部隊の隊長がヘレン・ミレンだが、あんなおばあさんの部隊長はおらんやろ……? それとも、70歳くらいに見える(『グッド・ライアー』の影響で歳盛りにみえるだけ?)けど、ホントは50歳くらいの作中設定??
本作のベストガイは、昆虫ドローンを操縦し、機転をきかせてバケツを買い占めたり、少女を現場から遠ざけるため、子供を見つけたらパンを買いにいかせたりと大活躍を見せた。
ミリオタ的なには、CGで描かれたプレデターレンダリングが今一歩なのが残念。プレデターと言えば、シフト交代と、飛行中に行われていたが、8時間以上も飛び続けられるもの?

以下ネタバレ

本作が凄いのは、エンタメではなく、あくまでも反戦映画的に、戦争の現実というか、ハードな面を強調するところ。
ミサイルを撃ったら、人間は焼け焦げ、四肢も飛び散る。まあ、本作では手首が千切れた程度の拍子に押さえてあったが。
それ以前に、ミサイルを撃った場合の被害予測シミュレーションだが、テロリストが外壁のすぐ内側の部屋にいるんだから、