思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クレヨンしんちゃん オタケベ! カスカベ動物王国

☆☆☆☆

ざっくり言って、『クレしん』映画には、当たりとハズレがあるが、本作は当たり。見分け方としては、最初の10分くらいの日時ギャグ描写が面白ければ、最後まで面白いことがほとんど。最初の10分とは、映画版のテーマ説明(ギャグを交えながら)だったり、スタッフの演習センスが充分(テレビシリーズなら1話丸々となる尺!)現れるだけの長さだからだ。実は最初の5分は録画し損ねたが、全然問題なく理解できる。
本作のテーマはエコ。環境主義者が善人ではないことは、エコテロリストの代表たる捕鯨船に攻撃してくるやつらとか、中国の利益に沿って活動するグレたグレタとが見ればよく分かる。
本作の悪役である自然守ならぬ四膳守も、チャラ音風の外見に、葉っぱ隊みたいな格好だが、山ちゃんが声を当てているので、終始爽やか。オヤジだったり、オカマだったり、とにかくクドイ『クレしん』映画では、異色の設定。ただし、言っている内容じたいは真っ当なところは、『大人帝国』や『ロボとーちゃん』にも通じ、そのへんが大人の鑑賞にも耐える要素だろう。
その正論から、全人類を動物にするジュースを飲ませる、という豪快な飛躍が子ども向け映画らしいところ。科学的にも飛躍(ちょっとやそっとの未来だとしても実現は不可能)だし、物語的にも無理がある。動物になれば環境破壊しようがないので、論理的には完全に正しいのもポイント。
野原一家のエピソードと、カスカベ防衛隊の描写が、うまく配分され、ダレる所がないのもうまいさ。
なお、途中で、子供たちが動物になるのだが、その動物が最新作『忍風帖』とは違うのが興味深かった。別に定番とかではなく、映画のスタッフごとにイメージが違うんやね。
本作のマドンナは『サンダーバード』のペネロープか? と思いきや、手榴弾やロケット砲を湯水のごとく使い捨てる謎の無駄遣いキャラ。いや、でも環境主義者が、募金や資金援助による他人の金を自分のものにしていることも、鋭く批判しているのかもしれない。深読みしすぎかな?(^^;) そうでなくても、映画の悪役としては、まあ妥当な設定だろう。『クレしん』映画ではおなじみの悪の組織のコスプレやと踊りも、『踊れ! アミーゴ』では全くダメだったが、正反対に首肯できるもの(好み)だった。