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原作も有名なので、存在は知っていたが、全く内容は知らない。映画も、リメイクされたのは知っているが、何作品あるのかも知らない。今回観たのは、エディ・マーフィー版。
吹き替えで観たが、エディは江原正士さん。私のような世代からすると、エディは山寺宏一、という刷り込みがあるので、違和感は最後まで拭えなかったなぁ。江原さんの演技じたいは全然悪くないんだけど。
意外だったのが、エディが動物の言葉が分かる作中での説明。生まれつき分かっていたのだが、子供時代に親に言われて、自ら封印した、というもの。霊感がある人とかによくある、とされてる展開でもある。
映画的にどうかと思ったのが、再び能力が再発した理由が特にないこと。結婚して、二人の娘も小学生になるかならないか、というあたりで、特に劇的なショックがあったわけではないのだ。
むしろ、能力(周りから精神異常者として扱われるので、症状と言ってもいいかも)が再発してからドラマが動き出す。
そこからは、エディと動物たちとの会話、娘の成長、エディの病院のM&A、などが実にバランスよく語られ、それがほぼ同時に着地するなど、実に見事。エンタメとして減点要素はないんじゃない?
だから傑作、大好き、とはならないのだが(^^;) そうなるには、傑出して好きになるための飛び抜けたフェティッシュな要素が必要なのかも。
まず、エディと動物との会話。ラッキーをはじめとする一対一の場合はコンビ漫才、ネズミやハトなど、ペアで行動すらやつらとはトリオ満載的なボケとツッコミが楽しい。制作年代を考えたら当たり前ながら、のいるこいる(知ってる人がどれだけいるのか?)的というか、牧歌的なネタなのだが、動物との会話なので、それが味にもなっている。
娘の成長は、エディじしんが子供時代に自分を押し殺したことと、金のために仕事の初心を忘れてきたことをリセットする、そして当然、家族の絆を固めるという要素を併せ持っていて、そういう意味でも素晴らしい脚本である。
また、CGなどない時代(このジャンルでCGが全面採用されるのは『ベイブ』からか。未見だけど)、動物がちゃんと街中に出てきたり、室内でエディと目の前で会話している様子が、合成っほくなく見えるあたり(撮影/合成技術)も感服した。ギニョール(マペット?)も当然使われているが、はっきり分かったのはクライマックスのトラの手術(!)シーンくらい。室内だし、ドアップだし、麻酔で止まってるんだから、アラが見えるのを責めるのは酷というもの。
90分、全くダレずに観られて、大人から子供まで楽しめる傑作というか、大良作(なんて言葉はないが)。これならリメイクされるのも納得だ。評判はさんざんみたいだけど(^^;)