思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

小原庄助さん


☆☆☆★

とある田舎町の旧家の冴えない男の物語。大河内傳次郎が主演のおじさん。
大河内傳次郎は、トボケた三枚目(役)で、今の役者でいえば、竹中直人みたいな演技。でも、たぶん役柄的にドンピシャなのは志村喬だろうな(^^;)
旧家のしがらみにしばられて、夜中に倦んでいる男は、他人には気前よく酒やミシン教室の場所を提供している。
序盤から、銀行マンらしき借金取りが家に押しかけているのだが、町長選挙騒動に巻き込まれたりして、結局、家の金目のものを売り払って、借金を返して、ついでにしがらみからも自由になろうとする。そうすると、ついでに妻にも逃げられるが、資産の叩き売りの際に芸者遊びをするなど、「自分といたら不幸になる」と敢えてそう誘導した感じ。
ラストは、ひとりぼっちで道を歩き出した主人公の元に、妻が戻ってくるところで「終」ではなく「始」と出るあたりが、戦後すぐとは思えない凝った演出。
おそらく家の土間にレールを敷いたのか、家の中から部屋を1つ横切って外まで歩くのを1カットで撮影したりと、撮影も非常に凝っている。
音楽は古関裕而で、田舎が舞台ということもあって、メロディに昭和のNHKっぽさを感じた。多分NHKの仕事もいっぱいしていたのかな?
なお、調べたら、江戸時代の史実をベースにしたものらしい。オープニングやエンディングに流れる歌も、郷土歌として実際に歌い継がれてきたものらしい。

1949年 日本