思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

スター・シェイカー

人間六度
☆☆☆☆
早川書房

まず、入間なんとか、というペンネームの作家もいるので、それのパロディなのかもしれないが、ふざけたペンネームに、読む気が萎える(´Д`) 本名なら仕方ないが、ペンネームも、読者への姿勢表明なのだから、もっとまじめにつけるべきでは?

ま、それは置いとくとして、内容である。一言で言えば「近未来日本を舞台にしたテレポートもの」。皆がテレポートするようになったので、交通機関も道路もなくなった、というあたりが面白い。高速道路だけが廃墟的に残っているとか、『シャングリ・ラ』とか、押井守的なセンスかも。
物語は、少女を拾う、というベタベタなところから始まるボーイ・ミーツ・ガールのロードムービー。そこへ追手が迫るので、超能力バトルとなる。
超能力はテレポートだけなのだが、さまざまな使い方や、自覚によって進化するあたりは『ジョジョ』の歴代主人公やラスボスのスタンドの描写そのもの。
以下、連想した作品を列挙するかま、順不同にはするが、オチまで含むのでご注意を(^^;)

テレポートが当たり前の世界で、それができなくなるとどうなるか、という展開は『ハイペリオンの没落』。
超能力バトルは、先に挙げた他には『超人ロック』『アキラ』『ガンツ』。
筒に入った超能力者という設定は『Vガンダム』。
男を迎えに女が宇宙を漂うのは『ガンダムF 91』。
世界を掬う為にこの世から消えるのは『まどかマギカ』。
帰ってくるのを世界中が迎えるのは『トップをねらえ2!』。

ハードSFとして考えると、避けて通れない、瞬間移動時の、元いた空間と、出現先の空間の物質はどうなるか問題。本作では光速で一点に収縮し、出現先では逆に一点から光速で拡大する。周囲にあった空気は一気にそこへ流れ込み、出現先に人体があれば、爆弾のような作用をもたらす。
衣服を着たままテレポートできる理由として、どこまでが自分であるかという認識の問題だとする。
私は、この設定が序盤で語られた時、タイトルからして、クライマックスは『妖星ゴラス』をテレポートでやるのかと予想したのだが、そうではなかった。ある意味、それよりもスケールは確実に大きい展開となったのだ。
ハードSF的な理屈として納得できないが、作中のSFとしての理屈としては、あまりフィクションでは取り入れた作品を知らない、膜宇宙論を取り入れたのが面白いところ。