思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アナ


☆☆☆★

リュック・ベッソン監督。リュック・ベッソンが、『アトミック・ブロンド』を観て、「オレもオレも!」となったかどうかは知らないが、モロにそんな映画。
個人的に一番残念なのが、ヒロインが美人じゃないこと(^^;) 世を偲ぶ仮の姿がモデル、という設定にしているくらい、プロポーションは抜群なのだが、いかんせん、顔が『ジョジョリオン』の丈助。出っ歯かつ受け口気味なんだよねえ。ちょうど、この前に観た『クレヨンしんちゃん 踊れ!アミーゴ』のヒロインも受け口だったけど。
ヒロインじたいにはあんまり魅力を感じないけど、そのぶん、スパイ映画としてのミステリー的な反転構成がうまい。時制が数ヶ月、数年単位で行ったり来たりし、そのたびに、やられたほう/騙されたと思っていたほうが、じつは優勢だった、というどんでん返しが、ある。ここで敵・味方と書かなかったのは、スパイとは、味方の組織すら信用できない、または平気で裏切る世界だから。
アナはKGBだが、後半にはスパイ界の両巨頭たるCIAが登場し、ますます目まぐるしい展開となる。
KGBのボスが「ブス」と呼んだ、『007』ならMにあたる、アナのボスのおばさんは、どっかで見た顔なのだが、最後まで思い出せなかった(^^;)
本作でアナが美人じゃないのが残念ではあるが(恋人であるベリーショートのモデル女子のほうがよほど美人。髪を伸ばしてたら文句なかった)、アクションヒロインとして、十分な魅力がある。百発百中と言っていい、スパスパ拳銃で敵を倒すのは、『ジョン・ウィック』以上、『リベリオンガンカタ並みの快感。そちらがメインなので、殴ったり蹴ったりはあまりしないが、クライマックス、KGB本文から脱出するシーン、地下道(?)で敵の身体を脚で挟んで横に一回転しながら別の敵を蹴るようなアクションを、実に素早い動きで見せるカットは鮮やか!
スパイ/アクション/ミステリー映画好きなら観て損はない映画だ。先の『ルーシー』といい、リュック・ベッソン、凡作監督になったかと思ったら、佳作を着実に出す侮れない人だと認識を改めざるを得ないかも。