『サマーフィルムに乗って』☆☆☆★
監督も、登場人物も、誰一人知らなかったが、「時代劇オタクの女子高生が、映画を撮る話」と知って、俄然興味を持った。
『カメラを止めるな!』っぽさもありつつ、『スローな武士にしてくれ』と『逆境ナイン』の風味で描いたような作品。隠し味に『時をかける少女』もありつつ。実は『逆境ナイン』に一番似てるような・・・。
『時をかける少女』が入っているのは、主役に抜擢したとある男が未来人なのだ。タイムパラドックスや、作った映画を封印する必要があるなど、ちょっと強引な設定(展開・縛り)がなされているが、本作では、どれにも登場人物はツッコミや否定的な意見を言わない。
まず、気になるのは、主人公は映画部だが、主要メンバーは恋愛映画を撮っている。時代劇を撮るために、スタッフをスカウトするのだが、これが部外者なのに、すんなり協力してくれるのが納得いかん。芸能人や学校のアイドルが出る、というならともかく、無名の素人が撮る時代劇で。
撮影が終了した時点で終わってもいいくらいなのに、そこからが結構ある。編集作業はまあいいとして、なんと上映会でクライマックス前に監督自身が上映を止めさせて、自分が敵役として殺陣を演じるのだ。しかも聴衆まで三下として巻き込んで、振り付け(殺陣)もなしに完全に「ごっこ」。そんなのうまくいくわけないやん。まあ、ここは春日太一氏の「決闘(チャンバラ)は恋愛だ」を知っているか否かで、評価が大きく変わるかも。いや、全部セリフで説明してるんだけどね(´д`)
上っ面だけ見れば、青春している映画。『アルプススタンドのはしの方』とかが好きな人にはオススメかも。
2021年 日本