思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『朝の波紋』☆☆☆

どうってことない日常ドラマなんだけど、違和感なく観られる、ということは演出がしっかりしている、ということ?
主人公・高峰秀子は大きくない商社に務める、英語の堪能なOL。大きな取引をまとめるも、ライバルに横取りされてしまう。ライバル商社に勤めていたのは、居候の少年の近所に住む友達・池部良(年の差は20歳くらい?)だった。少年は父親を戦争で亡くし、母親は箱根の旅館で女中をしている。
高峰は、社員仲間・岡田英次から独立の際に妻として一緒に抜けようとプロポーズされたり。
こうやって設定や粗筋を書いてみると、連続テレビ小説1クールぶんくらいな、結構複雑な内容なのに、すんなり観られる、ということは、脚本がしっかりしている、ということか。
岡田英次がライバルに取られた取引を取り返すために、工場に交渉に行って、文字通り宥めたり透かしたり、言を荒立てたり、甘い言葉をかけたり、という交渉術は勉強になったり(^_^;) ただ、唯一引っ掛かったのが、この岡田が仕事もできるナイスガイなのに、プロポーズを断られた後のシーンで、最後になってマッチョ風に強引に高峰を仕事で誘ったり、金を渡したりするのは、映画を終わらせる=高峰を池部とくっつかせるために強引に変節させたのが見え見えで、ちょっと岡田が可哀想(´д`)
高峰と池部が、タクシー内の何気ない会話の中で「仕事は楽しい?」「そりゃ楽しいさ」と屈託なく話しているのに、色んな意味でドキッとさせられた。自分がどうか、ということと、現在の映画では、普通のサラリーマンの会話を、現実でも映画でもできるか、ということと。
タイトルの意味は、最後までわからなかったなぁ(^_^;)

1952年 日本