思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

オーディション

☆☆☆

映画秘宝』やジャガモンド斎藤氏など、各所で評判のサイコホラーということで怖々と、期待してブルーレイを購入した。
まず、大いに不満を言いたいのが、ブルーレイソフトとしてはアウトやろ! ということ。画質は普通の映画のDVD以下だし、字幕もない。これでDVDと値段の差別化をするのは詐欺!
ストーリーは、妻を亡くした中年オヤジ(石橋凌)が、子供が高校になって、彼女も出来たりして手がかからなくなったのを機に、再婚しようとする、というもの。自分も小さな会社の社長であり金もあるので、親友の國村隼と映画のオーディションをでっち上げて、花嫁候補を探そう、というのだ。まさにゲスの極み!(^_^;)
そのなから、写真審査の段階で一目惚れした女性・麻美と、オーディションの後に二人で会って、関係を深めていく。だが、國村は彼女のプライベートに怪しさを感じて、深入りを避けるように忠告するが、石橋は聞く耳を持たない。この辺は、中年の会社社長というより、初めて女性に一目惚れした大学生か? という感じで、ちょっと「引く」部分。
この辺りで1時間を過ぎているので、サイコホラーらしさは、麻美の部屋がボロボロのアパートで、変な袋が蠢いている、というくらい。ホラーらしくなるのは、ラスト30分くらいから。
テイストとしては三池崇史監督が後に『十三人の刺客』でやったのと似たテイストだが、結論から言うと、本作は言われているほどエグくはなかった。まあ、『ホステル』とかと比べたら、という比較対象の問題なんだろうけど(^_^;)
実は石橋も、終盤にようやく明かされる、実は女遊びもしている、前半から受けるほど、妻一筋の清廉潔白な男ではなかった、ということなのだが、そこまで拷問されるほどクソ野郎、というほどでもない。まあ、Jホラー的な、サプライズ的に不幸や呪いに見舞われる、というのに近いのかもしれない。
最も意外だったのが、本作を語るのに散々書かれてきた「キリキリキリキリ」の発音。「錐」と同じイントネーションかと思っていたら、もっと高い擬音的な発声だったこと(予告編すら観ずに本編を観たからで、これは予告編にはしっかりあった部分)。それと、スチールにあるワイヤーを使う時のセリフだと思っていたのに、針だったこと。
そもそも、麻美が映画的に美人かどうか、というのも疑問だった。
結論は、物語としては☆☆だが、グロ描写そのものは☆☆☆☆で、相殺して☆☆☆、という感じ。


2000年 日本