思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『天狗飛脚』☆☆☆☆

市川右太衛門が主演。知らなかったが、GHQ占領下でチャンバラが禁止されていた(これは知ってた)時期に作られた時代劇なので、チャンバラはない。
アクションとしては、町人のケンカと、捕物シーンくらい。
舞台は江戸のライバルに押されて、店じまい寸前の天狗屋という飛脚問屋。今夜も飲み屋で喧嘩になるところ、片隅で呑んでいた市川右太衛門が、そんなの楽勝だとばかりに名乗り出て、文字通りその道のプロである飛脚が舌を巻く、玄人裸足のその足の速さを見せつける。鼻がデカかったこともあって、そのまま飛脚屋で働くことになる。
盗賊と誤解されて志村喬演じる同心に捕まったりする(本作の志村喬は、全然キレのない、ボケたコメディリリーフ役)。
クライマックスは大阪へ、子供を助ける薬をもらうのと、いい仲になった店の看板娘を取り戻すのと、さらには本物の盗賊を捕らえる、という3つが重なる、『走れメロス』を超えるような盛り上がりを有する、上手い脚本だ。
映画のトーンとしては、基本的に喜劇調で、こと天狗飛脚の三羽ガラスがコントのようで、いい味を出している。
ヒロイン(相馬千恵子?)も美しく撮られているし(アップになると若干目のシワが見えるが(^_^;))。

1949年 日本