思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『海賊八幡船』☆☆★

さしずめ『パイレーツ・オブ・セトウチ』という感じか。村上水軍に、父の忘形見が赤子の時に堺に拉致されていて、それを取り戻しにいって、その主人公が村上水軍の後継として自覚するまでの海洋冒険・成長物語。
なんと言っても、60年前の日本なのに、しっかり実物大の当時の(海賊)船を3隻ほど作ったのがすごい。純粋な海賊船も2隻出てくるが、画面に同時に映るのは3隻までなので、多分改装(艤装?)して撮影したんじゃないかなぁ。
海戦シーンでは10隻くらい映っているが、これはミニチュア特撮。画面が粗いこともあって、割と差は気にならない。

ちなみに、村上水軍側の船は一応貿易船で、自衛のための武装ということになっていて、「はちまんせん」「ばはんせん」(八幡を音読みしただけ)「めくらぶね」と呼ばれる。この3つ目の呼称を連呼するから、現在はこの映画自体がお蔵入りしたんじゃないかなぁ(^_^;) あとは、序盤にキチガイ老人が主人公をつれに来るから。いや、そもそも作中で「キチガイ」と連呼されてるけど、あんまりキチガイっぽく見えないんだけど。ホントのキチガイって、『SPIRIT』でジェット・リーに「いつ州1番になるんだ?」と何回も言う老人とかを指すんじゃない?
このめくらぶねとは、ちょっと調べると日本における潜水艦の元祖、とされるのだが、本作ではもう一つの意味である「周りが見えないくらい、装甲で周りを覆った船」の意味じゃないかなぁ。作中では全く説明なしに連呼されてるけど。

主人公は、村上水軍サイドの人間に勧誘されるのを拒否したりして、ゴタゴタのさなか、(実の親と思っていた)育ての親が死に(村上側は別に殺したわけではない)、妹は行方不明に。基本的には、妹を探す、と言うのが主人公の行動原理。
村上水軍の棟梁に祭り上げられ、琉球に行って海賊と戦ったり、南方に行って、『モスラ』他で馴染みの黒塗りの日本人が演じる土人に殺されそうになったりする。最後には海賊から、妹を助け出して、村上の娘とも結ばれてめでたしめでたし、となるノーテンキ娯楽活劇。
中でも序盤、主人公が村上水軍に拉致される時に、ホントに木槌で頭を叩いて気絶させるのには色んな意味で衝撃を受けた<(@_@;)> 『風雲児たち』の1巻あたりでもあるが、ギャグマンガかお笑いコントだけの演出だと思ってたのに、シリアスな映画でそんなことやってるとは?!
某所でも書いている人がいたが、確かに私的にも、主人公も女優人も、全然萌え要素がなかったのがちょっと厳しいかな。それよりも脇役がいい味出していて、三枚目役の大阪弁のおっちゃんが実にナイス!

1960年 日本