思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

アリオン


☆☆☆☆

安彦良和劇場アニメは全部観たつもりだったが、高校生で観た『ヴィナス戦記』と、先日観た『クラッシャージョウ』がごっちゃになっていただけで、これが残っていたのだった。
本作は、ギリシア神話を、『ガンダム』的な演出で描いたもの。演出というのは、ビームみたいな大砲であったり、神の力をニュータイプ表現と同様に描いたりしているため。また、アポロンとアテナの関係も、キシリアハマーンとクワトロ/シャア、まんまである(^^;) まあ、セリフ回しも富野セリフっぽさムンムンで、『ガンダム3』の直後で影響から脱していない? とか勘ぐったりしてしまう。いや、別に良い効果を生んでいると思うけど。
キャラデザには山聞涼子も名を連ねているが、アポロンのコスチュームとか、一部のモンスターがそうなのかな。
物語的にはかなり盛りだくさんで、テレビシリーズ2クールのダイジェストか、というくらいのボリュームである。
安彦良和映画を観る最大の目的である、粘っこいというか、品のある動きは存分に味わえる。少なくても『クラッシャージョウ』よりもバランスは良かった。アップなんかは『アルスラーン戦記』の神村幸子さんっぽいな、と思ったら、やはりエンドクレジットに名前が連なっていた。他には『ガンダムUC』で安彦キャラを動かすことになる高なんとかさんの名前も。
また、ギリシア風の鎧の格好よさも、『ガンダムF 91』から思っていたことで(もちろん制作年代は逆)、本作でもアテナのカブトとかはめちゃ格好いい!
ただ、唯一の不満は、ストーリー上のもの。ラストバトル前、アリオンが城を攻める際に兵に檄を飛ばすのだが、その動機というか、演説の内容が「好きな人を助け出すため」というものなのだ。知らんがな(´Д`) というところじゃない?? いちおう、伝説の英雄の息子、という担保があるにせよ、だ。特にモテないオタクには受け入れてがたいんじゃないかなぁ……。
実は好きな人というのはアリオンの妹なんだけど、もうひとつ、アテナとアポロンというペアを先に描くことで、近親相姦こそが神々の特徴、特権としと先に語られているので、これは作中設定だから良いとする。