思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

シルマリルの物語(上)

トールキン田中明子訳
☆☆☆☆
評論社

3つに別れたシルマリルが失われ、モルゴスが倒されたところで終わる。
430ページ1段組みなのだが、めちゃくちゃ時間がかかった(月曜から次の火曜まで)。これは『指輪物語』ばりに文字が小さく、おまけに1行開けどころか、改行もほとんどない、文字密度が異様に濃いから。
かてて加えて、固有名詞のオンパレードで、誰が誰なのか把握するのも困難。
最悪なのが、せっかくの索引がこの上巻には付いていない、ということ。2段組みにしてもいいから、1冊にまとめてないと、索引の意味がないやん!? いちおう、最初に挙げた、キリのいいところで上下巻を区切る、と言うかねがね抱いている不満は解消されているのだが。
本巻での悪役は、モルゴスで、彼はサウロンのボス。サウロン自身は、今回は使いっ走り程度のチョイ役である。
なお、訳文には大いに不満があり、例えば映画や類書では「ノルドール」と表記されている語を「ノルドォル」のように、伸ばし棒が極端に少ないので、慣れ親しんだ語句の変更と合わせて、二重に違和感があった。

「レンバスを貯蔵することも与えることも王妃のみに属する権限であった」
この辺りを知っていると、『指輪物語』でホビットたちに与えられたレンバスが、いかに様々な意味で貴重なことか、と言うことがよくわかる。