思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『本日休診』☆☆☆☆

事前情報、完全にゼロで観たシリーズ。とある下町の町医者のもとに、いろいろな問題を抱えた患者たちがやってきたり、往診したりする。まあ、『赤ひげ』である(黒澤映画版の製作はこれよりだいぶ後)。あちらは強面の三船敏郎が老医者だったが、本作では志村喬的な好好爺(柳永二郎という人)が老医者。
開業前日の病院に次々に患者がやってくる1日から物語が始まる。往診する場面や、患者たちの家の描写もわりとあるとは言え、何か病院のセットに限定した舞台演劇でも出来そうな脚本ではある。
最初は、短編集的な、下町の貧乏な患者たち(ごく1部、金持ちのマダムのエピソードもある)の人間模様を描いたものかと思いきや、最後にはほとんどの患者たちのエピソードが1つにまとまる、という連鎖短編的な構成が巧み。知らないだけで名作とされているのかもしれないが、知識ない私からすると、「隠れた名作」なんじゃないかと言える、よくできた映画。
最初は街中を走る列車から始まったり、ヒロインが強盗に遭うところで踏切を使ったり、貧乏人が列車に住んでいたりと、列車が何度も印象的に出てくる。
なお、ヒロインの一人である淡島千景が、羽野晶紀にそっくりで親子? と思ったくらいだが、調べたら全然関係なかったみたい(^_^;)
内外問わず、知らない俳優さんは、知ってる人に置き換えて見ると覚えやすい。本作では前記の他に、戦争でキチガイになった帰還兵を三国連太郎が演じているが、若い三国連太郎に馴染みがないので、久保明(こちらも古いが、東宝特撮映画でよく知ってるので)に見立てて覚えた(^_^;)

1952年 日本