思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『太平洋奇跡の作戦 キスカ』☆☆☆★

北方のキスカ島で窮状に陥っている日本兵を救出した作戦は知っていたが、詳細は知らなかったので、知るために観た。
白黒映画とは思わなかった。主演が三船敏郎で、東宝で、特撮は円谷英二が担当している。観てみれば、軽巡洋艦 阿武隈が主役みたいなもんで、それの航海シーンが本作のキモ。
ストーリー的には『二百三高地』みたいな感じで、ピンチの軍隊を天才的な軍師が救う、という感じ。
児玉源太郎よろしく、

キスカ島というのが、その前に全滅したアッツ島と同じく、北方領土カムチャッカよりもさらに東にある、ということすらよく知らなかった。確か本土でこそないが、アメリカ本領土(グアムとかフィリピンのように植民地ではない)を占領した数少ない事例、というのはここのことだったか。
主人公の大村少将は、南方から呼び寄せられた。米軍と顔を突き合わせたような位置にあるところへ艦隊が乗り込んでの救出は不可能とも思えたが、霧に紛れての接近、という作戦を立てる。接近から離脱まで5日を要するため、5日の間霧が晴れない気象条件を待つのが最大の難関。
そんな中でも米軍に発見されたため、暗礁海域であるキスカ島西方を回り込んで湾内に入るルートを取る。このあたりは『ガンダム THE ORIGIN(6)』の艦隊戦を見ているかのようだった(当然ネタ元は反対なのだが)。
救出作戦が立てられたことは連絡されるが、いつ救出が来るかは未定なため、毎日2時間だけ湾に島全土から集合して整列するとか、二匹の犬はおいてゆくとか、私物は一切持ってゆけないが、遺骨は全員分運ぶとか、日本軍の規律正しさが窺える。まだまだ戦前・戦中の事実を知る人たちが作っていたんだなぁと感じさせられる。
特撮もかなり頑張っていて、実写と見間違う、とまでは行かないが、普通によくできている。とくに内火艇のミニチュアに人形を乗せたカットは、その直前の同じ位置にいた人のカットと相まって、遠景の戦艦の手前に、実写の内火艇を合成したのかと錯覚したほどのでき。


1965年 日本