思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ブラック・ホール』☆☆★

実に奇妙な作品だ。何の予備知識というか、映画知識がなく映画で描かれていることだけを見れば、ブラック・ホールの近くに漂流している宇宙船(宇宙基地)を舞台にしたC級SF映画に過ぎない。
セットも劇伴も実にチープだ。
ところが、本作には実に魅力的なデザインと、『スター・ウォーズ』との相互フィードバック、という見逃せない要素があるのだ。後者へは、多分前者の魅力的なデザインゆえ、だろうが。79年という制作時期を考えれば、『新たなる希望』の後で、時期的には『帝国の逆襲』と並行して作っていた感じか?
まず、最初に驚かされるのが、全身トラス構造の、舞台となる漂流宇宙船の造形だ。多分2メートル近いサイズのミニチュアじゃないかと想像されるが。それだけで予算を使い果たしたのかなぁ、そのせいでいわゆる美術・セットがチープ。最初は『ダーク・スター』っぽい感じを狙って作られたのに、仕上がりがC級っぽくなったのは。
また、内部というか、中庭的な舞台は『スター・ウォーズ クローンウォーズ』ではまんまオマージュとして出て来た。
操縦室はデス・スターをチープにした感じだし、赤い兵隊ロボットはストーム・トルーパーをZ級のセンスで再現した感じ。ダース・ベイダーっぽい黒いやつも出てくるが、中盤のゲーム対決であっけなく破壊・退場(^_^;)
赤いボス的なやつの方は、後にエレベーターと共に『ジェダイの帰還』で本家がパクリ返すのだ。これが本作のパクリ元がパクリ返すという異常事態の2つ目。
マスコット的な空中を浮かぶロボットは、R2ーD2と『禁断の惑星』のロビーを合わせた感じなのだが、モロに目のあるデザインは、日本人ならロボコンを連想せずにはいられない。
あと、変わったところでは、ロボット化された乗組員(そうする意味も理由もわからないが)の、黒いマントに、銀色の球体のようなお面、というビジュアルが『ヴィドック』でまんまパクられている。

1979年アメリ