細川巌
☆☆☆☆
岩波e文庫
なにより、親鸞聖人の解説をベースにした、凡夫の視点から解説されていることが素晴らしい。
『空論』のような、ある種の純粋な哲学書ではなく、菩薩(在家と出家のそれぞれ。特に『十住毘婆沙論』では、在家にも重点をおかれている)が修行、なかんずく生活においてどうするべきかが述べられているのが興味深い。特に、出家だけでは、乞食する相手がいないから、出家教団が成り立たない、という理由は分かり易い。
また、龍樹じしんも難行ではなく、易行にこそ道があるので難行に対して易行道とした、というのが研究者ではなく、宗教者(著者は仏教者だとは書かれていないが、本文内容からしてらそうであろう)ならではの慧眼。