思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

クレヨンしんちゃん外伝 エイリアンVSしんのすけ



☆☆☆★

ケーブルテレビで見たが、旧声優版で、こんなのあったのかと驚いた。おまけに各話約10分で、合計110分くらいの連作短編(とは言わないのかな?)という変則構成。
外伝というだけあって、舞台はエアカーとかが乱れ飛ぶいわゆる未来の春日部で、何故か拉致されて、冷凍睡眠ポッドから目覚めたところから始まる。『11人いる!』的なシチュエーション。
そこで、エイリアンが襲ってくるのだが、そのエイリアンはブヨブヨのビア樽みたいで、また同じく覚醒した人々との確執も。
メンバーは、野原一家に加え、となりのおばさん、ミッチーとヨシりん、こわそうな男2人、謎の美女、という面々。男ふたりが、どこかでみてキャラデザだと思いながら、これ、というのが思い出せない。片方は、『天カス学園』の鉄仮面番長で、もう片方は、昔のアメコミの脇役みたいな感じ。
内容としては、『エイリアン』プラス『エイリアン2』、それに『11人いる!』。謎のゼリーや、シリリならぬ巨大エイリアンまで、盛りだくさん。SF映画ファンからしても侮れないでき。
アニメファン視点でも、色彩設定が実に子供向けの原色ではない、微妙にずらした、渋い、それでいてテレビシリーズのイメージは損わない素晴らしいもの。

以下ネタバレ

隣のおばさんが、実はロボットだった、的な中盤のツイストは、『トータル・リコール』での、一般人の顔が割れてシュワちゃんの顔が現れるのを思い出させる。
外ひとねえちゃんがジョージだか何だか呼んでいたのが、宇宙船ではなく、パワーローダーだった、というのもうまいミスリード。もちろん、『エイリアン2』のオマージュなのだが、メカトロなんとかみたいなデザイン。
ラストは、なんとか未来の地球に戻ってめでたしめでたし、かと思いきや、最後のエネルギーであさっての方向にワープして終わり。それと、謎のゼリーを食べて肥大化したシロ、しんちゃん他のめんめんがそのまま、というのも「外伝」でしか許さないぶん投げ方だ。ある意味、どんな不可逆的なことが起きても元に戻る子供向け番組に対するアンチテーゼとして、リアルなのだが。