思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

忌名(いな)の如き贄(にえ)るもの

☆☆☆☆
講談社

7歳、14歳、21歳ごとに、山の滝まで行って、札を流してくる、忌名の儀式。その最中に、振り返ると死ぬ、という言い伝えのとおりに、仮死状態というか、幽霊になった主観から序盤が始まるので、本作はこのまま全篇通すのか?! と慄いたのだが、さすがに1章だけであった。おまけに、次の章では、あっさりと蘇生して……という拍子抜けっぷり。とは言え、「如きもの」シリーズのこと、ちゃんと、伏線として回収される。
全体的には、ド本格的な観点からのアリバイ崩しに挑む読者にとっては分からないが、私のようなテキトー読者には、その辺はスルーされるので、全体を通して大トリックが主眼となる。
ちょっと謎解きが始まるのも本当にページ数が後少しになってからでもあり、今回はシリーズの中では小品として、あっさり解決しすぎ? と思っていたら、最後の数ページのエピローグで強烈な動機と共にどんでん返しが炸裂する。ハウダニットとしてはちょっと反則というか、平凡すぎる(←どっちやねん)感じがしたが。