思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

ベルリン 天使の詩

☆☆★

『天使の翼』は本作の続編。だが、別に本作を知らずに観ても何の問題もなかった。
主人公は普通のおっさん天使だが、『天使の翼』の主人公だったセイン・カミュ似の天使もちゃんと出ていた。それだけでなく、いろんな(なぜかどいつも中年の)天使が、図書館で登場するあたりの贅沢さは、こちらが続編かと間違えかねない。
最後まで観れば、主人公が、本人もサーカス団じたいも売れないサーカスのダンサーに恋するあまり、人間になってしまう、というストーリーはあるが、基本的には、邦題に『詩』とあるように、さまざまな人間の心の声を詩のように描く、ヒューマンドラマ。
町山氏の解説で、ベルリンの壁崩壊前の西ドイツ映画だと知るが、まるでソ連の映画、とは言わないまでも、イタリア映画的な地味さがある。カメラワークも特に凝ってないし、『天使の翼』のほうが断然好きだ。
あとは、『天使の翼』でサーカス団が人間たちのメインとして出てくる謎は、本作を観て解決した。

町山氏の解説では、本作がベルリンの壁を、こわそう、というアジテーション映画であると解説されるが、そういうテーマがあるのはともかく、本作がそこまでの影響を与えるほど、ドイツでヒットしたかどうかについて全く触れていないので、判断のしようがない。
あとは、映画として面白くない(^^;)

ただ、映画表現として興味深いことに気づいたが、本作のほとんどは続編『天使の翼』と同じく、モノクロなのだが、白黒ではなかった。シーンごとに微妙に、セピアっぽかったり、グリーンっぽかったりする。つまりはグレイッシュなモノトーンなのだ。『天使の翼』がそうだったかどうかは気づかなかったのだが。