思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

薄桜記

☆☆☆★

市川雷蔵勝新太郎のダブル主役というべきか。タイトルからは想像つかなかったが、なんと忠臣蔵映画、のようでそうでもない。
勝新太郎が中山/堀部安兵衛役。市川雷蔵は丹下典膳。内容は、千春という女を、江戸時代だから、取り合いはしないが、三角関係。とはいえ、基本的には、ビジュアル的にも千春と雷蔵の間に、なんとか千春に惚れた勝新太郎が振り向いてもらいたい、という話だ。
映画の構成としては、いきなり赤穂浪士の討ち入りらしい勝新太郎のアップから始まり、そこから回想的に、三角関係の物語が語られる。
それがイントロで、そこからは堀部安兵衛を中心とした『忠臣蔵』が描かれるのかと思いきや、これが全然(^^;) 例の吉良の浅野への嫌がらせはセリフで語られるだけだし、松の廊下の刃傷こそちゃんと絵がれるが、ロングショットで、まさに切りかかったところだけ、下手すると30秒もなかったんじゃないか? というくらいしか映らないのだ。ただ、このヒキのショットは、パンで長い廊下のセットを見せる、なかなか様式美溢れる良シーン。
様式美といえば、チャンバラをはじめ、ほぼ全てのカットに歌舞伎的な演技・所作がなされているので、ただ座っているだけのシーンでも退屈しないのはさすが。悲しいかな、現在では失われてしまった技術(?)だなぁ……。
千春役の女優さんも、美人というか、まさに浮世そのまま、という目鼻顔形。これをみると、浮世絵が実はめっちゃリアリズムで描かれていたんじゃないかと伺わせ、当時の絵柄の流行/伝統/デフォルメだとばかり思っていた考えを改めてさせられた。
勝新太郎は、走っているところや、チャンバラじたいはいいのだが、女にモテモテ、という静の芝居では、月代のヅラと合わせて、とっちゃん坊やにしか見えず、終始違和感があった。役柄でも、もしかしたら当時の実年齢も30前後ということで、後年の坊主のおっさんのイメージが強すぎるのかもしれないが。
ちなみに、『忠臣蔵』映画としては、吉良邸の門に突入したところで「終」となる、潔い構成(^^;)