思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!』☆☆☆★

セイン・カミュみたいなおじさんが、天使としてドイツ庶民の生活を見守っているが、ある時、ベランダから落っこちた女の子を助けてしまったために、天使の翼を失い、人間になってしまう。
そこで、当然一文無しで世間知らず(ある意味、知りすぎているとも言えるはずだが)浮浪者同然の暮らしをしていたら、弾みでアングラ組織(マフィア?)のボスと意気投合する。ところが、意気投合しすぎて、彼の闇ビジネスであるポルノビデオと兵器売買を知ってしまい、それを壊滅させることになる。そこからは、ミッション・インポッシブルというか、香港映画か? というくらい、庶民の知恵(本作では序盤に出てきたサーカス団の身体能力)を生かしてミッションを成功させる。ところが、後一息で逃げおおせるというところで、命を落とすことになる。
ストーリー的には、『刑事コロンボ』で有名なピーター・フォークが、本人役で登場するのが面白い。ミッション・インポッシブルでは『コロンボ』のロケハン、という名目で侵入のチャンスを切り開くのだ。この辺は完全にリアリティよりも、ドリフ的なベタベタコメディなのだが。ドリフ的といえば、天使役の二人が、ドリフ的な天使の羽根をつけているのも、ギャグなのか真面目なのかよくわからんレベル(^_^;)
映像的には、始まった直後など、天使目線ではモノクロで、人間目線のシーンではカラーになる、というのが面白い。なんとなく重厚というか芸術的っぽい気がするのに加えて、モノクロだと顔のシミが見えづらくて、きれいに映るのが分かった(^_^;) 主人公のおっさんでもそうだが、女の天使の方は尚更綺麗なのだ。ナスターシャ・キンスキーという女優さん。
また、天使目線ということもあって、カメラワークも見所。ドリークレーンともケーブルカー的な吊りとも、ヘリコプターとも断言しづらい、微妙な、まさしく飛んでいるようなショットが独特の浮遊感じを出している。
はっきり言って地味なのだが、なぜか目が離せないのは、先に書いたような映像的な見どころと、天使たちが語る、警句的なセリフが相まって醸し出す魅力のせいなのか。
ちなみに、本作はパート2で、『天使の詩』という第一作があるらしい。しかもそちらの方が評価が高そうなので、そちらも観てみるか。