思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

テリー・ギリアムのドン・キホーテ

☆☆☆★

未来世紀ブラジル』の鬼才テリー・ギリアムが構想30年という歳月を費やして完成させた、とあれば観ないわけにはゆかないだろう。
それよりも完成が2018年とかで、テリー・ギリアムってまだ生きてたんや!? というの何よりの衝撃(^^;)
ドン・キホーテ』の映像を撮影中よCM監督であるアダム・ドライバー演じるトビーは、ふとしたことから自分が学生時代に自主映画としと撮った作品のDDVDを見つけ、近くであったロケ地を再訪する。
ヒロイン・アンジェリカは撮影中に彼に煽てられた結果、調子にのって街にでたが、鳴かず飛ばずで、現在は金持ちの2号さん的な存在らしい。主人公を演じた靴職人は、自分が本当にドン・キホーテだと信じ込んだまま生活しているのを見つけた。彼に会ったとたん、トビーはドンに、従者サンチョ・パンさえだと勘違いされる。
その後は、ドンに連れ回されたり、トビーが愛想を尽かしたり、やっぱり自分のせい、という負い目があるから、見捨てられなかったりして、振り回される。
メインストーリーは、ロシアの大富豪の妾になったアンジェリカを、トビーが解放しようとする話だ。このアンジェリカが、目が大きくて可愛いい。彼女と、ドンの老人としての魅力で、この映画は観られるものになっているのだ。
観られるといえば、トビーが学生時代に撮った白黒映画が素晴らしくて、断片的にしか見られないのが残念だが、どことなく『神々のたそがれ』を思わせる魅力がある。
本作は、キチガイと幻の映画なので、一旦画面に映された映像が、直後に別のものとしと覆い隠されることが頻出する。冒頭の、有名すぎる、風車を巨人と勘違いするのもそうだし、アンジェリカが火炙りにされそうになるシーンもそう。
サスペンスとしては、ドンがヨウキョウなのか、本当にキチガイになったのか、が気になるところだが……。

以下、ネタバレ


この狂気はどうやらホンモノでなおかつ伝染するらしい(´Д`)
ラストでドンが死んだ後は、トビーがドンになり、頑張って、CM監督の地位を放り出して救出したアンジェリカが、サンチョ役を務めることになる。面白いのは、アンジェリカが、やっぱり、憐れみからトビーに合わせる形で、サンチョを演じることになるとこだ。
今気がついたが、本作は、演技の