なんだか妙なタイトルだが、カバーにある英語タイトルから分かる通り『detective versus detective s』。
最初は、フィクションではない、探偵の実像が描かれるのか、と思いきや、それは導入に過ぎない。
中盤以降は、リアリティはご飯どこへ行った? というくらいの、ハチャメチャ展開。『百舌鳥の叫ぶ夜』ばりのハードボイルドというか、ノワール、アクション小説になる。
文体もいかにも中二が「カッコいい」と思いがちな、一見修辞的だが、ちと浮いている。全体がそうならともかく、数カ所しかないし。
ま、大衆受けするのも分かる気がするが、続けて買う価値もないかなぁ。
「小説の探偵よろしく、関係者一同をどこかの部屋に集めて、犯人はこのなかにいる、て? 考えてもみなよ。誰かを殺して偽装工作まで働いた犯人が、黙っておとなしく話をきくと思うか。関わりあった人間がみな一カ所に集まるのなら、ためらいなく外から扉をふさいだうえで火を放つだろうよ。」
「ダミーカメラだ。本物の防犯カメラに赤いLEDランプの点滅はない。」
「方角は、木立から導きだせる。葉が大きく育っているほうが南、コケの多いほうが北」
これらも、話半分に聞いておいた方がいいのかもしれないが。