思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

フィスト・オブ・レジェンド アクション編

本作で忘れてはならないのが、テーマ曲の格好良さ!
原典である『ドラゴン怒りの鉄拳』と同じ作曲家らしいが、そう聞けばなるほど納得。
まずは大小のドラムで、力強い打撃を表現している。トランペットでヒーローっぽさを。ストリングスで悲劇なドラマを、女声スキャットで恋愛ドラマ風味を加えている。低予算ながら、まさに百点満点! 中でもドラマの格好良さに痺れる。

アクションの魅力。
本作最大の特徴は、少林寺拳法/カンフーではないジェット・リーのアクション映画、ということだろう。もちろん、カンフーも使うのだが、必殺技というか、ここぞ、という本気を出す場面では、ボクシング的なステップを踏んでの、ある種、喧嘩拳法なのだ。作中の台詞では「勝つための拳法」だとか。少林寺拳法ファンとしては、そこがちょっと物足りないのだが、それを補ってあまりある格好良さがある。
冒頭の学校のアクションでは、近距離からの最短距離で相手を仕留める動きもシャープだが、それをグレードアップさせた、日本軍の
道場殴り込みシーン。後に『キス・オブ・ザ・ドラゴン』でグレードダウン(アップの間違いじゃないよ(^^;))オマージュされる元ネタとも言える。芥川との試合になると靴を脱ぐのも、ちゃんと日本に対する真摯な姿勢が現われている。
中盤の山場である倉田との試合。とぼけた倉田のキャラのせいもあって、悲壮感がない、純粋な格闘家同士の、技術と精神の高め合い、というのが良い。ここの空中キックもそうだが、本作では、普通ならスローでじっくり見せる決めカットも、通常再生より少し遅くなるくらいで、割とサラッと見せる。ラストバトルのムーンサルトキックも全く同じ。
若館長が果たし合いの前に、リーを訪れ、夜に焚き火の前で話し合いをするのもBL的かつ、脚本的には王道。そこで本格カンフーをごくあっさりと見せるのがニクイ(^^;)
ラストバトルは、メチャ格好いいムーンサルトキックを少しスロー気味で決めたのに、敵にほとんど効いてないのが、色んな意味で怖い(^^;)
リーが肩の脱臼を自分で治すところから逆転開始。テーマ曲がかかるところから、いわゆ「ブチ上がり」の超燃え展開。
館長はこれまでのシーンで棍や刀を使っていたものの、リーは本作では終始素手で戦ってきた。敵が刀で館長の腕を貫いたところで、ついに殿下の宝刀を抜く! それがなんとベルト!(『ジョン・ウィック』の三作目か何かでキアヌがベルトを使うのはこのオマージュかも) これが文字通り、止まらぬ早技かつ、縄を使う少林寺拳法を応用した脚を絡ませての方向転換など、メチャ格好いい!
ここまで、これという必殺技のなかった本作のラストを飾るにふさわしいカタルシスを与えてくれる。