思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

兵隊やくざ
☆☆☆☆
勝新太郎の当たり役の一つとされているシリーズの、第一作。
満洲に配属された新兵・勝新太郎が、日本軍のビンタ文化の中で奮闘する話。
勝新が元やくざという設定で、理不尽な軍隊の中で、仁義を通す。原作もドラマも未見だが、日本陸軍版『半沢直樹』というところ。メンツを潰されたから黙って折れないとか、一対一の決闘とか、売春宿に入り浸るとか、やっていることは完全にヤクザ映画と一緒。
アウトローであるやくざが、ガチガチの組織である軍隊の中で、正義のヒーローとして活躍するというところが面白い。まあ、構造としては『座頭市』と同じものがあるけど。
また、彼を庇う上官(本作は彼の回顧録としての体裁なので、ナレーターでもある)との奇妙な友情の物語でもある。今日的な視点で言えば、BL的に味わい尽くせること間違いなしの傑作でもある。
ちなみに、ミリオタ的には、三八(?)ライフルは出てくるものの、砲兵が出てくるのに大砲も、戦車も全く登場しないので悪しからず(^_^;) 別に気にならないけどね。
白黒映画だが、全くそんなことは気にならない面白さ。白黒作品にありがちな、暗くて何もわからない、ということもなく、本当に終わってみたら「白黒だった!?」というくらいよく撮れている。

1965年 日本