思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

閃光のハサウェイ(下)

富野由悠季
☆☆☆☆
角川スニーカー文庫

中巻でケネス大佐のところからハサウェイの所にいたギギは、下巻では再びケネスの元に。本作は、ハサウェイとケネスを巡る、ギギの三角関係の物語でもあるのだが、恋愛関係でも、アムロ・シャア・ララァのようなニュータイプ的な関係でもないところが特徴。言うなれば、戦争という運命に引き裂かれた男女の友人三人の物語。しかしながら、元からの友人が敵味方に引き裂かれた、という凡庸なものではなく、戦争の中で出会って、即友人になった敵と味方が、それぞれの立場ゆえに葛藤するという、ある種、高度な話なのだ。
現代にも通じる、『Z』や『逆襲のシャア』以上に、連邦という官僚組織や政治家の腐敗問題も、より本質的なところを抉っている。マフティーの規模が、デラーズ・フリートよりも小さく、さらにはぺズンの反乱よりも小規模なところを、主人公はどんなに小規模な戦力でも勝てるというアニメじゃない、リアルな結末を予感させるもの。
最終章ひとつ手前までも充分トラウマ級にハードな物語だが、最終章ではさらなる物語的などんでん返しがあったのを、すっかり忘れていた(^^;) 中高生の自分にはあまりにハードなので、記憶から消していたのかもしれない(^^;)

しかしこれ、『UC』以後で、『F 91』なんだよなぁ……(´Д`)(3作とも、内容を知っている人なら共感してくれるであろう慨嘆)

忘れているといえば、オデッセウスガンダムという名称こそ出てこない(これよりかなり後に後付けされたから?)が、ペーネロペーのフライトユニットは、下巻では外して戦闘してたのね……。