思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

映画すみっこぐらし 飛び出す絵本のひみつ

☆☆☆★

ちまたでは「子供向けだと舐めてたら、号泣?!」という評判だったが……。
基本的には癒し系のキャラがふんわり緊張感のない大冒険を繰り広げる。映画版『ドラえもん』から、ドラえもんを抜いて、のび太、しずかちゃん、ドラミちゃんだけで異世界の問題を解決する、という感じだ。
緊張感のなさは、死んだり怪我したりする可能性がまったく感じられないリアリティ設定と、何故か意味もなく男女二人の交互ナレーションで進行する展開にある。
キャラたちには声優がなく、書き文字とナレーションによる心情説明で、それが動物もののようなテイストを醸し出している。
ドラえもん』ではある種押し付けがましいと言えなくもないクライマックスの心理的葛藤も、無表情かつ無声のキャラたちの心情をナレーションで語ることで、逆に泣ける、というのはよく分かる。
子供たちは全編に漂うほんわか、コメディ演出とアクションで退屈せず、大人は癒される、『クレヨンしんちゃん』とは違って、二層的に楽しめる秀作だ。