思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

シェイプ・オブ・ウォーター
☆☆☆

これがアカデミー賞??(´д`)
どうせ聾唖のおばさんに、動物愛護や奴隷のモチーフとして半魚人を捉えた左翼アカデミー会員がたくさんいた、というだけでしょ?
真面目なところでは、半魚人の知能と現地(?)での生態がよくわからない。
聾唖のおばさんが少女っぽすぎる。絵描きの老人との関係性が分からない。掃除のおばさんだけでは食っていけないから、絵描きのハウスワーカーとして雇われてるの?
最も感情移入できるのはソ連のスパイである科学者と、反対に、敵役である嫌な研究所長だ。上司である元帥との間の、中間管理職としての苦悩とか(^_^;)
要するに、主人公を少女にしたジブリアニメとかならちょうどい設定なのだろうが、こんな真面目っぽい設定配置にしたのが、乗れなかった最大の要因?
どう考えても風呂場が水で一杯になるよりも扉の隙間から漏れる方が早そうな二重意味での擬似(?)水中セックスシーンも興醒めだったし。映画館支配人じゃなくても迷惑行為にブチ切れしたくなるだろう。
半魚人のデザインも、上半身は非常に凝ってるのだが、下半身がテキトー。足にも大きなヒレがあるとか、扁平な尻尾がある、とかでも良かったと思う。シルエットが、なんか大きな猫みたい。まあこれは、目の感じとか、途中で猫を食べたり、その後は仲良くなったりするので、狙ってるのかもしれないが。演出的には『ET』じゃなければ、ほとんど黒人との交流ものみたい。
デルトロ作品では『ヘルボーイ』に出てきた水中種族を異世界要素なしにした『パンズ・ラビリンス』のテイストで描いた、という感じ。
あとは、人間の女とセックスするという、メチャクチャなストーリー。これはプラトニックだからこそ美しいんじゃないかなぁ・・・。まあ、これがラストでエラができる伏線でもあるのかもしれないが。人間じゃないんだから、生殖器が出てくるところも具体的に描くべきでしょ? 造形チームの真骨頂ともいうべきところなのに。
人間ドラマは、ノレる人は盛り上がる部分になると思うが、クライマックスでいきなり歌い出してミュージカルテレビ番組になるとか、どっちらけだ。いや、イメージシーンで、それくらい盛り上がってる、という演出意図は分かるけど。
あ、さっきファンタジー要素なし、と書いたけど、半魚人には治癒能力、という超能力があるんだよねぇ。そのためにラストで主人公が撃たれても、全然緊張感がない。というか、自分の傷すら直せるのって、無敵やん。だから所長に拷問されてもすぐ治ってたの?(時間経過がよく分からない。中盤以降の種明かしのために、その辺はあえて隠されているのか?)
半魚人がラストでキスするのも人間的すぎてこれまた劇冷め。水中生物なんだし、構造的にあんなキスはできないし、文化的にしないでしょ。
主人公の仕事仲間で親友みたいな黒人の掃除おばさんの主人が最後に家で亭主と主人公をチクるかどうかで揉めるところも取ってつけたよう。もちろん、彼女たちの家庭まで描いていたら軸がぶれるけど、それなら彼女の家を出さずに展開させれば良かったのに。なぜなら、言っていることは亭主の方が完全に正論だから。観客が主人公たちのドラマに乗れない要素をクライマックスで混ぜたらダメでしょ?