思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『秘録 イスラエル特殊部隊 中東戦記1948-2014』
マイケル・バー=ゾウハー&ニシム・ミシャル著/上野元美
早川書房

原題は『No Mission Is Impossible』(不可能なミッションはない)で、邦題とはまるで違う上に、特殊部隊(だけ)の話ではない。イスラエル建国以来の軍事的作戦を陸空軍、特殊部隊とモサド、もちろん政治的判断などを踏まえて述べたもの。
やはり地図がほとんどないので、中東に詳しくない人にはやや位置関係の把握が難しい。
あと、ミリオタ的に、というか飛行機はミグ21とか、ハーキュリーズとかF16とか、機種を書くのに、戦車はごく一部をのぞいて「戦車」とだけしか書かれないのが多いに不満だ。唯一、「メルカバ」表記も一か所しかなかった。当然、センチュリオンだのショットカルだのも出てこない。


「施設内に作られたエンテベ空港の新旧ターミナルの模型を使って、隊員は繰り返し、襲撃と救出の演習を行った。」
年代順に並べられた構成の中で唯一例外的に冒頭に置かれた、有名な「サンダーボール作戦」についてのもの。しっかり訓練(準備)をしていたからこその「奇跡」なのだ。

「パーティで、来客たちは、ベランダの長テーブルについていた。彼らの前で、地中海の波がゆったりと浜に打ち寄せていた。(略)黒い地中海の波のあいだから突如として現れた二人のダイバーが、防水ケースから狙撃銃を取り出して(略)スレイマンの額に二発撃ちこんだことに気づかなかった。」
まんまゴルゴ13じゃないか(@へ@;)

アイアンドーム防空システム(略)ミサイル735発を撃ち落とした(略)イスラエルの都市や村に落下したロケット弾はわずか224発で、死者は5人だった。」
阻止率が7割だが、約千発ものミサイル攻撃をされて死者が5人なら、素晴らしい性能だと言えるだろう。