思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

押井守のニッポン人って誰だ?

押井守
☆☆☆★
講談社

何故、SF者であり、日本史や文化に詳しくない渡辺麻紀さんを聞き手に選んだのか理解に苦しむ。いや、無知な読者の代わりに説明を求めてくれるから、後で膨大に注釈を入れる必要がないから、というのは分かるけど。でも、これが明石散人や井沢元彦とかだったら、物凄く深い話が引き出せたのになぁ……。と惜しい気持ちでいっぱい。(左右の立ち位置的にも、百田尚樹とかより、この二人あたりが適当では?)
渡辺さんのあとがきにある通りなら、資料やメモなしで本書の内容を喋った押井監督の情報量恐るべし。
押井監督的にも、日本人を語る上でのキーワードは『日本沈没』の「何もせんほうがええ」ということで、昨今の武漢風邪パニックを見ていると痛感する。

アメリカは、日本に核武装させようとしたこともあり、佐藤栄作はそれに「持たない、作らない、持ち込ませない」の非核三原則で応えた。それに対してアメリカは、核兵器をすべて引き揚げるという制裁をしたんですよ。そのとき、一瞬だけど、日本から核の傘が外れた。もし、そのままだとソビエトや中国のやりたい放題になってしまうからね。ただ、そのあとニクソンからフォードと大統領が代わり、政策も変わったので一瞬で終わった」