思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

カインの子どもたち

浦賀和宏
☆☆☆☆

祖父が殺人罪で死刑囚として40年を過ごしている主人公と、同じく祖父が殺人を犯し、既に故人であるジャーナリスト。二人の女性が出会う時、過去の事件の真実を解き明かすべく、物語が動き始める。
まあ、ありがちな設定ではある。ちょっと違うのが、二人とも女性であること。そして、事件の謎や、二人の関係が序盤からコロコロとツイスト、進展すること。これ、最後に明かす謎じゃないの? と心配になるくらいに。
しかし、最後に明かされる真相は、それを上回る衝撃の……というよりは、それらを踏まえた上での決着、という感じが強い。
小説としても完成度がまだ高く、ラストのどんでん返しの衝撃を、抑えた上で、途中のツイストと、小説的な人間描写の総合点では、ある意味では作者の最高傑作では?