思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

デーモン・インサイド

☆☆☆★

原題は全く違い、直訳すると、『彼女が生きる理由』?
あらすじからネタバレだが、要するにサイコパス&脱出&マンハントもの。
カナダ映画であり、レズビアン夫婦の片方がサイコパスだった、というのが類作とは違うポイント。
別荘の池の向かいのお隣さん(幼なじみ)に相方を「妻です」と紹介されるほうが、長身・短髪・スレンダー・微乳なので、ちょっととまどうが、レズカップルの場合はどちらも妻と呼ぶのかな?? 逆を、(「夫です」とか)紹介する場面がないのでよくわからない。相手が全く違和感を抱かないのは、ポリコレ対策演出なのか、カナダの常識なのかどっち?
作中でも、被害者も、犯人自身も「サイコパスだ」と言っているのだが、彼女が幼い時はともかく、長じてからは、保険金を掛けて配偶者を少なくとも1人は殺している。これって、ただの逆・後妻業?(^^;) まあ、普通に考えたら、サイコパスの個性を活かして金儲けしていると言えるのかも。
最初は、「夫」に嫌な事を言われたから、キレて崖から突き落としたように見せ、転落から奇跡的に生還してから、保険金目当ての結婚(詐欺)であったことが当人との会話中で知らされる。だがこれ、最初は幸せの絶頂で、何の前兆もなく唐突に突き落とされる方が、よりショッキングだし、「妻」が崖下から消えた「夫」を探す際に心配そうな声色で探すところまでミステリアスな雰囲気を保てたと思うのだが……。
なんだかんだで救出し、再び転落死させるために検死をごまかすためにあってはならない怪我を治したり、食事させたりするのはなんだかなぁ……。まあ、暴力で拉致監禁されたら、いいなりになるものなのかもしれないが……。
本作の描写で良かったのが、対岸の幼なじみ夫婦に自分「妻」の秘密を告げたのを見た彼女が、二人を始末するシーン。首を手早く切ったり、馬乗りになって何度も刺したり。そこまでリアル志向なのに、血しぶきがまだらではなく、霧状に顔にかかるのはリアリティに欠けると思ったけど。その後、紫外線ライトを当てながら血痕を拭くのは、幻想的かつリアリティもある名シーン。それも「夫」にされようとするが、全然使い物にならない(^^;)当たり前や。
斧でバラバラにするところも、足だけだが、しっかり写してくれるのも◎。
そこからの攻守攻防は、見せ場を作るための無理のある展開が続き、クライマックスなのにちょっとダレる。ここにリアリティとか論理的なツイストがあれば秀作になったのになぁ……。
中盤に犯人が幼なじみを迎える時に真っ赤な口紅を引くところが『ジョジョ第4部』ラストバトルのディオみたいだとか、ただし、ラストの「夫」のプロパビリティ殺人トラップは起死回生の逆転も『ジョジョ』っぽかった。
両者相討ちっていうのラストも◎。ただし、ラストカットは目が開いたまま死んでいる「夫」なよで、人によっては、再び生き延びた、と解釈している。どんだけタフやねん(^^;)個人的には、さすがに生きてるってことはないと思う。リアリティ的にも。