思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

メメント

☆☆☆☆

これが『ダークナイト』『インセプション』『インターステラー』のノーラン監督? と思ったくらい雰囲気が違う。もちろん予算の違いもあるんだろうけど。妻との思い出、という意味では『インセプション』に通じるものはあるが……。
10分しか記憶を保てない主人公、という設定は『ジョジョ』六部の元ネタかな?
それと、編集で時系列がシャッフルしているのが特徴。シャッフルと言っも完全にランダムではなく、少ししたら種明かしをしてくれる親切設計。特に白黒でのホテルでの電話シーンは、ランダムではなく、ぶつ切りだが、しっかり前から順番に見せてくれる。終盤まで見ればわかるが、前半と後半を真っ二つにし、後半をモノクロにして前から順に、前半をカラーで後ろから逆に見せる、という変則的な構成を取っている。
ポイントは、モノクロシーンが、ラストなのかプロローグなのか、というあたりか。
本作にはDVDで時系列に沿った再生ができるモードが存在し、そちらは面白くないとの評判。本作が面白いのは、カラー場面での違和感が、少しするとその理由が分かる、というところにある。ミステリーにおける謎と、謎解きが数分に一回あるのと同義。これがあるからビデオでも目が離さず、グイグイ引き込まれるのだ。構成は全く違うが、快感の法則としては『カメラを止めるな!』と似ている。
ラストに至って、真相をぼかしているのも面白い。主人公は信用できない語り手の最たるものなので、ある意味では当然かもしれないが……。
サミーの奥さんがいない、というのはがっかりだなぁ……。もちろん、テディが本当に嘘をついている可能性も否定しきれないのだが……。