思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

モサド 暗躍と抗争の60年史

小谷賢
☆☆☆☆
新潮社

イスラエルには、首相直轄のCIA的なモサド、軍の情報部アマンをツートップとして、複数の情報機関がある。
本書は、歴代の長官の経歴を主眼に、モサドを組織論の視点から語ったもの。
だいたい80年くらいまでは、活躍していて、しかもその成果は瞠目すべきものだ。
ユダヤ人としての宿敵・ナチスアイヒマンを数年かけてアルゼンチンで特定・逮捕・イスラエルに密出国して裁判にかけた上で死刑にした。
また、エンテベの奇跡として知られる、ウガンダの空港に人質とともに着陸した犯人を急襲し、30分で制圧した。遠く離れた非協力的な他国における作戦にも関わらず、百数人の人質の犠牲は3人、突入部隊の犠牲は1人だけだった。
ただし、80年からは、他国でのスパイや協力者が逮捕されたり、失敗続き。単純に活躍できるほど国際情勢が単純ではなくなったのかもしれない。