思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

エンディミオンの覚醒

ダン・シモンズ著/酒井昭伸
☆☆☆☆★
早川書房

初読時にも抜群に面白かったのは保証済みなので、再読したかったのはやまやまだったのだが、なんせ持っている本の中でも最高クラスに分厚い本なので、おいそれと再読できなかった。今回、自炊したのでようやく実現できた。
冒頭はいきなり、パクス視点で始まるなど、前作に比べると、ネーミングの格好良さや、ドライブ感は控えめで、じっくりと読ませる。
再びエンディミオンの惑星放浪が始まるが、今回はアイネイアーと別れて、とある惑星の天山なる場所で落ち合う、という前回以上の無理ゲーっぷり。
記憶では、てっきり天山にたどり着いたら終わりだと思っていたら、そこまでで6割くらい。そこから300ページ以上もある。
読み返すと、主人公ロールが、ファーストタイム以降(加速装置)を封じられたとはいえ、ネメスに勝ってしまのはちょっと納得いかない。だって、同じく加速装置を使えるシュライクでさえ互角だったんだぜ……(´Д`) まるでターミネーターT1000をジョン・コナーが倒した、みたいな拍子抜け感が。せめて一旦は殺されてから、ネメスが他の理由で撤退してから蘇生させる、とかね。
おとは空白の2年間について、アイネイアーが語らなかったこと。全てを知っているくせに主人公(読者)に語らないことで謎を作り出すという、下手な連載漫画家みたいなマネは、読んでいてイライラさせられなくもない。
アイネイアーの拷問シーンは良かったけどね(^^;) ほんと、主人公といい、この作者は主人公にも遠慮ないのが良い。
テーマ的には、『ガンダム』とか、『幼年期の終わり』にも通じるものがあるかも。
あとがきには映画化権利取得の話題もあるが、一向に実現しないのが残念。いや、むしろ今ならテレビシリーズ実現のチャンスなのかも。『ゲーム・オブ・スローンズ』なんて目じゃない傑作になるはず。