思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

マシニスト

☆☆☆★

クリスチャン・ベールが役作りで劇痩せしたことで、ずっと気になっていた作品。予想では、何らかの原因で、食べても食べても痩せる主人公。その呪いの原因は……?という話だと思ってたのだ。『痩せゆく男』という原作の題名に引っ張られ過ぎたか(暴言すれば、小説の邦題がおかしい?)。耳慣れない響きなので、内容も変わったものだと勘違いするが、(英語が少しでも分かる人なら映画の序盤で分かるだろうが、machinis tで、『眠れない機械工員の物語』みたいな邦題が妥当なのかな)
ネタバレなしで言えば、主人公の前に時折り姿を見せる謎の男の正体は? というサスペンス。
ラストまで観ると不眠症の設定には必然性があるが、痩せる必然性はほんどない。元から痩せ気味の俳優をキャスティングすればいいだけ。結論だけ言えば、ありきたりなストーリー。クリスチャン・ベールも、こんな作品なら、劇痩せする必要は全くなかったのに(´Д`)
まあ良かったところと言えば、工場の機械事故で、じわじわと腕が巻き込まれるまでの「間」の恐怖感と、しばらくシーンが経過して後に映る、切断された指(^^;)

以下、ネタバレ

序盤、同僚が機械トラブルで腕を失う事故が起きたあたりで、アイヴァンなる黒人が幻覚であることはまあ想像がつく。ただ、主人公が白人なのに黒人なのかはよく分からん。まだ、同じネタの某名作のほうは幻覚のキャストに意味があるのに。
風呂場の死体が消えるのはまだいいとしても、冒頭にあったすまき死体まで消えるのは、どんでん返しに驚くというよりも、「何も信用できない」と、一気に冷めてしまう。
ずっと現実から逃げてきたせいで眠れなかった主人公が、自首したことでようなく眠れる、という物語じたいは、まあ分からなくもない。ただし、幻覚のせいで職場や馴染みのレストラン、娼婦にまでキチガイの妄言で迷惑をかけまくる主人公には全く感情移入できないけど(´Д`)