思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『ファーゴ』

☆☆☆★

人名か法律事務所(そりゃファームだが)のことかと思ったら、アメリカのとある田舎の地名だそうだ。
何よりも映像センスが良い。冒頭の、水色の背景かと思ったら空だったり、オーバーラップを駆使してシーンを移す技術は一見の価値あり。
最初に「実話を元にした……」とあるから、よほど奇妙か、信じがたいサイコな事件かと思ったのだが、予想とはちょっと違った。
ある意味、アメリカらしい事件という感じがした。普通に、冬の田舎道で事件発生の報告、一台の事故車と、一台のパトカーと警官の死体……という導入から捜査する警察ものなら、捜査が進むに連れて、脱力系の「ウソぉ?」という事実が明らかになる、かなり違った味わいの映画になっただろう。

以下、ネタバレ

本作は、最初にとある金儲けの計画を企む男から始まる倒叙ものとも言えるが、それにしては警察(妊婦警官なんて特殊な設定が生かされていないのは、事実たったから?)が犯人の手掛かりを得たり、追い詰めるプロセスが全く面白くない(論理的ではない)。やはり、間抜けな犯罪者たちが企み、それ故に最悪の展開となった事件の端末を描いた再現ドラマ/犯罪映画と見るべき。
この事件か映画化されるまでになった要因は、極悪でもサイコでもない小悪党たちが、そのバカさ故にアクシデントに対し、狂言誘拐、発砲(殺人)、死体隠蔽という形で対処したことによる。唯一、極悪な登場人物と言えば、無口ながらすぐキレるロシア系大男くらいか。