思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

スペシャルアクターズ』☆☆☆☆

最後にどんでん返しがあるらしい、という情報だけで観に行った。『カメラを止めるな!』ではテレビ放映まで見逃していてブームに乗れなかったことに大後悔したので、今回こそは、と。
冒頭ははっきり言って『カメ止め』と全く同じ構造(監督役が俳優に怒る)だったので、これは二番煎じかと思ったが、まあ、敢えてやってるんだろうと理解した。
序盤は、アンガールズみたいな人が主人公なので、大丈夫か? というのがほんの少し心配だった。上田監督だから、役者全体でドラマを作ってくれることは信頼してたけど。
また、割合早い段階で本作のテーマが分かるのは良い。「演技」が上田監督のライフワークであることは宇多丸師匠も喝破していて、それは本作でも同様。むしろ、「演じる」ことを全面的に扱った映画と言える
本作の特徴は、徐々に盛り上がっていく、ということ。
トップをねらえ!』ではないが、序盤は「これ、大丈夫?」というくらい、かなりのローレベルから始まり、中盤で普通に盛り上がったと思ったら、そこからさらに2、3段くらいレベルアップする。なので、序盤の不満があっても、席を立ったり、テレビを消したり、スイッチを切ったりしないで欲しい。観終わったら、そんなのどうでもいいくらい、気持ちよく劇場を出られるから。

ただ、不満点としては、先の不安にも通じるが、ちょっと編集のテンポが悪い感じがした点を挙げざるを得ない。
『カメ止め』が喰い気味、切りすぎ、というくらいに切り詰めた映画だったのと比較するまでもなく、普通に冗長なシーンが結構ある。特に静的なシーン。
作中作『レスキューマン』も3、4回も同じ映像が流れるが、最初と最後でいいでしょ?『カメ止め』の編集法則ならば最初の1回だけにしてもいいくらいだ。それ以外のカットでも、3分の1くらいは切れると思うものが多かった。
あとは、ポスター。『カメ止め』と同じ人だが、あちらは良かったのに、本作の場合は、イラストとしての完成度というか、少なくとも、この仕上がりでは、全く知らない人は観たいとは到底思えないんじゃないだろうか。私ですら、ちょっと観なくてもいいかな…と思ったくらいなのだ(´д`)

今回も『カメ止め』と同じスタイルで、無名の役者を活かす脚本で、その辺りは主要登場人物が揃う場面では遺憾無く効果を上げている。これが『ラジヲの時間』みたいに名の知れた俳優ばかりだったら、確かに画面は華やかになるのだが、逆に「演じている」という感覚が、物語への没入を邪魔するかもしれない。
もし、『カメ止め』と制作順番が逆だったら、理想的なホップ・ステップだったのに、と思わなくもないが、ホームランの次の打席は、3ベースヒット、という感じで、底力を見せつけた感じ。

『カメ止め』応援だの片隅に入りたかった私としては、さすがにネタバレ主義のブログやHPであっても、これ以上は自粛します(^_^;)