思考の遊戯・続

「雑読雑感」の管理人・レグルスの読書メモ、映画のネタバレ感想など

『乙女戦争(11)』

『乙女戦争(11)』
☆☆☆★

前巻の感想を書く際に出てこなかったが、絵柄は衣谷遊の影響が強そうだ。
私だけかも知れないが、本作で面白いのは、どう考えてもヒロインとして感情移入しそうなシャールカに極端に感情移入しないことだ。
史実として確定している歴史マンガ、ということもあるのかもしれないが、どちらが勝っても、誰が死んでもどうでもいい。これは、戦争なので、次々に人が死ぬのと、過去の「事実」なので、どうせみんな死んでいるから(^^;)
この巻の白眉は、傷口が化膿して、脚を切断(皮膚を裂いて縫うディテールが素晴らしい)したのに、わずか2ページ後に死ぬこと。
もう一つは、回復の見込みがなく、シャールカが請われて重傷者の首を切るシーン。
ノンフィクション的に、当時の戦争の裏も表も描いてくれているのが本作の価値である。